商用ビザ
商用ビザは、現地で雇用されることなく、商談・会議・展示会・視察などの企業活動のために渡航する人のためのビザです。日本のパスポートの場合、短期出張の多くはビザ免除や電子渡航認証(米国ESTA、英国ETAなど)の範囲でカバーされます — ただしそれで認められるのはあくまで「商用ビザ相当の活動」であり、現地での就労ではありません。この区別は渡航形態にかかわらず共通です。
商用ビザ(またはビザ免除での商用滞在)が想定するのは、外国企業の側に立った活動です。契約の締結、現地拠点の視察、パートナー開拓などがこれにあたります。渡航頻度が高い場合は、有効期間内に何度でも入国できる数次(マルチプル)ビザを発給する国もあります。
一般的な必要書類
- 1現地企業からの招へい状
渡航先のビジネスパートナーが発行する正式な招へい状。訪問目的と期間が明記されたもの。
- 2所属企業の出張証明書
役職、渡航目的、滞在期間を記載した勤務先発行のレター。日本語の社内文書ではなく、英語(または現地語)での発行が求められます。
- 3出張日程と滞在先の予約
会議・展示会・視察のスケジュールと、ホテルなど滞在先の予約確認書。
- 4企業実在性・所属の証明
会社の登記情報や、申請者がその企業に所属していることを示す書類。
- 5資金証明と帰国便の予約
滞在費を賄えることを示す書類と、帰国または第三国への出国を示す航空券。
「出張」と「就労」の境界線
商用ビザで技術サービスの提供やコンサルティングまでできる、という思い込みは危険です。多くの国では、報酬の有無にかかわらず、現地の人材が行い得る作業を行うことは「就労」とみなされ、就労許可が必要になります。据え付け・保守・研修講師などの技術出張は、国によって専用のビザ類型が用意されているため、渡航前に必ず確認してください。
認められる活動
商用ビザ(および商用目的のビザ免除滞在)で一般に認められるのは:
- 商談・会議・交渉への出席
- 会議、展示会、見本市への参加
- 現地拠点・工場の視察
- 契約・協定の締結
- 見込み客やパートナーとの面談
- 短期研修への参加(受講者として。講師側は不可)
認められない活動
商用ビザでは次の活動はできません:
- 現地企業に雇用されること
- 現地から給与・報酬を受け取ること
- 有償のコンサルティングや技術サービスの提供
- 現地採用で代替可能な実作業を行うこと
- 適切な登記なしに長期の事業運営を行うこと
一次ビザと数次ビザ
商用ビザには、1回の渡航のみ有効な一次(シングル)ビザと、有効期間内に何度でも入国できる数次(マルチプル)ビザがあります。同じ国への出張を繰り返す場合 — 継続的な取引先、長期の交渉、駐在準備など — は、数次ビザを取得しておくと申請の手間が大きく減ります。
滞在日数と有効期間
商用ビザの1回あたりの滞在は30〜90日が一般的です。数次ビザの有効期間は6か月から5年まで幅がありますが、有効期間が長くても1回ごとの滞在日数の上限は変わりません。滞在日数の管理は出張の頻度が高い人ほど重要で、特にシェンゲン圏の90/180日ルールは商用渡航にも通算で適用されます。